
約3億8457万円の賠償命令が、控訴審で0円に。ナイトブラ「モテフィット」をめぐる訴訟で、てんちむこと橋本甜歌さんが逆転勝訴を報告した。なぜこれほど大きな判決変更が起きたのか。2020年の豊胸を公表していなかった騒動から返金対応、一審敗訴、控訴審までを整理する。
てんちむがモテフィット裁判で逆転勝訴 3億8457万円が0円に
2026年10月14日、YouTuberのてんちむこと橋本甜歌さん(32)が、ナイトブラ「モテフィット」をめぐる訴訟の控訴審で逆転勝訴したと自身のXで報告した。2024年12月の一審では3億8457万4504円の損害賠償を命じられていたが、控訴審では支払い命令がすべて取り消され、本人の説明によれば支払額は0円になった。
しかも、控訴審では会社側に対し、てんちむさんへ約224万円を支払うよう命じる判断も示されたという。賠償を支払う立場だった一審から、会社側が支払う立場となった控訴審への変化は大きい。
本人は長い間支えてくれた人々への感謝を述べた。一方で、裁判に勝ったからといって過去の行動がすべて正当化されるわけではないとして、ファンの信頼を裏切ったことへの反省も示している。
ただし、控訴審の判決文全文は現時点で確認できていない。したがって、どの契約条項がどう評価されたのか、損害の発生や因果関係を裁判所がどのように判断したのかについて、断定することはできない。
今回の結果を『3億8千万円の借金がなくなった』と表現する報道もあるが、正確にはこの訴訟で一審が命じた損害賠償の支払いが控訴審で取り消されたということだ。他の債務や私生活の経済状況まで確定するものではない。
豊胸を公表せずナイトブラを宣伝 2020年の騒動と返金対応
争いの発端は、てんちむさんが過去に豊胸手術を受けていた事実を公表しないまま、ナイトブラ「モテフィット」のプロデュースや宣伝に関わっていたことだった。2020年にこの事実が広く知られるようになり、商品を購入した人々から説明への疑問や批判が噴出した。
ナイトブラは着用感やバストラインのサポートを目的とする商品だが、宣伝する人物の体形の変化が商品によるものと誤認されるような表現があれば、購入者の判断に影響し得る。今回の騒動でも、豊胸手術を伏せたままの宣伝が消費者の信頼を損なったという問題が中心となった。
騒動後、てんちむさんは購入者への返金対応を進めるため、メーカー側に約2億2000万円を送金したと過去の報道で伝えられた。その後、この資金の扱いや返金をめぐる問題などが企業側との法的な争いへ発展した。
ここで混同してはいけないのが、消費者に対する説明責任と、メーカーとの契約に基づく損害賠償責任は別の問題だということだ。消費者を誤認させたとして批判される行為があったとしても、メーカーが主張する巨額の損害賠償がすべて法的に認められるとは限らない。
一方で、控訴審で賠償命令が取り消されたことは、当時の宣伝手法について問題がなかったと裁判所が宣言したことと同じではない。本人が今回の報告でも反省に言及したのは、その二つを区別しているためと考えられる。
なぜ一審の3億8千万円が覆ったのか 判決理由と裁判の争点
2024年12月の東京地裁の一審では、てんちむさんに3億8457万4504円の支払いを命じる判決が出たと報じられた。本人はその後、動画で厳しい判決だったことを語り、控訴する意向を明らかにしていた。
2026年10月14日の控訴審では、一審判決が覆り、てんちむさん側の支払いは0円になった。裁判情報を発信するアカウントによると、東京高裁で判決が言い渡され、会社側の支払い額は224万4078円だったという。ただし、この端数までの金額については判決書原本での確認が必要で、本人が公表した数字は約224万円だ。
『なぜゼロになったのか』は最も知りたい部分だが、公開されている本人の投稿と主要報道だけでは詳細な判決理由は判明していない。契約違反の有無、損害額の算定、行為と損害との因果関係、返金費用の位置づけなどは一般的に争点となり得るものの、今回の高裁がどれを理由に逆転させたのかは未確認だ。
そのため『裁判所が広告の虚偽性を否定した』『メーカーの請求が不当だったと全面認定した』といった説明は、判決文を確認しない限り避ける必要がある。結果の大きさと、理由の確実性は分けて考えたい。
今回の控訴審判決が直ちに確定したかどうかも別の問題だ。会社側が上告・上告受理申立てを行うかは確認されておらず、今後の手続き次第では争いが続く可能性がある。
夫・三崎優太氏と元交際相手・溝口勇児氏の反応 今後の上告は
判決を受けて、てんちむさんの夫として知られる実業家の三崎優太氏(元「青汁王子」)も2026年10月14日、自身のXで言及した。三崎氏は、メーカーがタレント個人に責任を負わせる構図について以前から疑問を抱いていたという趣旨を述べ、逆転勝訴に安堵するとともに、長期間の裁判を闘い抜いたてんちむさんをねぎらった。
一方、過去に交際していた実業家の溝口勇児氏についても、勝訴を祝福する趣旨のSNS上の言及がみられる。ただし、本人の投稿全文や正確な表現は確認できていないため、具体的な発言を引用したり、裁判の評価を代弁したりすることは避ける。
夫や元交際相手の反応にも関心が集まるが、今回の判決の意味を考えるうえでは、本人を取り巻く人間関係と裁判所が判断した法的責任を区別する必要がある。
てんちむさんは、今回の判決結果を伝えるとともに、かつてファンの信頼を裏切った事実を認め、今も反省していると説明した。これは裁判上の勝敗と、インフルエンサーとしての説明責任が異なることを示す発言だ。
インフルエンサーが商品を宣伝する場合、購入者は商品そのものの性能だけでなく、発信者の体験談や外見、評判も判断材料にする。だからこそ、宣伝に関係する重要な事情をどのように説明するかは、広告の信頼性に直結する。
今回の裁判は、宣伝者と販売会社の間でトラブルが生じた場合、誰がどの範囲の損失を負担するのかという問題も浮き彫りにした。ただし、具体的な契約条項や高裁の判断理由が確認できない段階で、どちらの契約上の主張が全面的に正しかったと評価するのは早い。
今後注目されるのは、メーカー側が上告するかどうか、判決理由がどこまで明らかになるか、約224万円の支払い命令の法的根拠は何か、という点だ。これらが判明すれば『3億8457万円から0円へ』という逆転の中身を、より具体的に説明できる。
巨額賠償の取り消しはてんちむさんにとって大きな節目となった。一方、2020年の騒動をなかったことにはできない。判決で示された法的責任と、視聴者や購入者との信頼関係を区別することが、今回のニュースを正しく理解する鍵になる。