カムチャッカ地震が起きた翌日から、まるで待っていたかのように「実は宜保愛子も2025年に大地震の予言をしていた!」という情報が大量発生している。まさに予言村の「二次創作ラッシュ」の典型例である。しかし調べてみると、そこには呆れるほど都合の良い後付け設定と、露骨な便乗商法の匂いが漂っていた。
「20年間封印されていた予言書」の奇跡のタイミング
まず最初に感心するのは、この「封印された予言」のタイミングの良さである。
7月5日にたつき諒の予言が外れる
「やっぱり予言なんて当たらない」という空気が流れる
7月30日にカムチャッカ地震発生
「やっぱり7月に地震が来た!」という騒ぎになる
7月31日から一斉に「宜保愛子2025年予言」が登場
「実は20年前から封印されていた予言があった!」
このタイミングの良さは、もはや芸術的である。まるで台本でも用意されていたかのような完璧な展開だ。
「遺族が封印を解いた」という設定の巧妙さ
特に巧妙なのは「なぜ今まで隠されていたのか」という疑問への回答だ。
「彼女は2025年の予言は他のものとは違う。これを軽々しく話すと、かえって悪い方向に向かってしまう可能性があると語っていた」
「しかし2020年のコロナ禍を経験した後、遺族の考えが変わりました」
なんと便利な設定だろうか。20年間封印していた理由も、なぜ今公開するのかも、すべて説明がつく。まるで少年漫画の「封印された力」のような設定である。
「科学者も認めた」謎の田中博士
更に笑えるのは、複数のサイトに登場する謎の「田中博士」である。
「エジプト地震予言の際に『科学的にありえない』と断言した地質学者の田中博士は、その後自身の研究姿勢を変えたといいます」
「データや理論だけでなく、もっと幅広い視点から地震現象を見るようになった。実は今、霊能者の証言も参考資料として取り入れる先進的な研究を続けています」
この「田中博士」、いったい何者なのだろうか?所属機関も本名も一切明記されていない謎の人物が、複数のサイトで同じような証言をしている。まるでAIが生成したような都合の良いキャラクターだ。
東日本大震災の「3万人予言」の真実
宜保愛子の「的中実績」として必ず挙げられるのが「東日本で3万人が犠牲になる災害」の予言だ。しかし、これにも興味深い事実がある。
Yahoo!知恵袋の質問(2016年)では、実際にその番組を見ていたという人が詳細を証言している:
「25年位前ですかね?宜保愛子さんがテレビに出られていた時、『将来 日本の東日本で大きな自然災害が起こる 3万人が無くなる その後の復興は立派に成し遂げる』とコメントした事を鮮明に憶えています」
注目すべきは「参考までに、宜保愛子さんは津波とは一言も言っていません。津波の起こる時期も言っていません」という証言である。
つまり、元々は非常に曖昧な「東日本で災害」程度の予言だったものが、震災後に「津波を予言していた」「時期も当てていた」と脚色されている可能性が高い。
Twitterで露呈する便乗の実態
Twitterの反応を見ると、この便乗商法の実態がよく分かる:
懐疑派の声:
「宜保愛子がどこでそんな予言していたの?聞いたことない」
「宜保愛子先生がそういう予言をされていたという話は聞いたことがないです。ソースを教えていただけますか?」
「出どころが掲示板からだからめっちゃ怪しいなw」
冷静な分析:
「宜保愛子の2025年南海トラフ地震予言は、彼女の生前発言に直接基づく証拠がなく、最近のネット上で広まった都市伝説の可能性が高いです」
YouTube・noteで大量生産される「解説動画」
検索結果を見ると、7月下旬から8月にかけて「宜保愛子2025年予言」を解説するYouTube動画とnoteが大量に投稿されているのが分かる。
タイトルの傾向:
- 「【放送禁止】宜保愛子が泣きながら語った2025年予言の全貌!」
- 「宜保愛子の3つの予言が完全的中!2025年8月の最終警告が怖すぎる…」
- 「【衝撃の真実】宜保愛子が遺した最後のメッセージ...2025年、希望か絶望か!?」
どれも煽情的で、まるでコピペしたような似たり寄ったりの内容である。再生数稼ぎと広告収入目当てなのは見え見えだ。
「霊界から新メッセージ」まで登場
更に呆れるのは、「現在も宜保愛子の霊がメッセージを送っている」という設定まで登場していることだ。
ある霊能者のブログでは、「宜保愛子さんがお越しになられた!」として、2025年に関する新たなメッセージを「受信」したという記事が投稿されている。
つまり:
生前の予言→20年間封印→遺族が公開→霊界からの追加メッセージ
というフルコースである。もはや「宜保愛子」というブランドを使った壮大な創作活動と言っても過言ではない。
宜保愛子本人の本当の「予言スタイル」
実際の宜保愛子さんは、どちらかというと霊視や除霊が専門で、具体的な災害予言をバンバンしていたわけではない。
彼女の有名なエピソードといえば:
- 心霊スポットでの除霊
- 相談者の霊視・カウンセリング
- 逸見政孝さんの病気を霊視
- エジプト地震の予言(これは有名)
「2025年に南海トラフでマグニチュード9.2、津波40メートル」みたいな具体的すぎる数値予言は、明らかに彼女のスタイルとは異なる。
便乗商法の完璧なタイムライン
今回の一連の流れを整理すると:
1. たつき諒予言ブーム(2021年〜2025年7月)
「2025年7月5日に大災害」で話題沸騰
2. 7月5日、何も起きず
「やっぱり予言は当たらない」という空気
3. 7月30日、カムチャッカ地震
「でも7月に地震は起きた!」と信者が復活
4. 翌日から「宜保愛子2025年予言」大量発生
「実はもっと有名な霊能者も同じこと言ってた!」
5. YouTube・noteで解説動画大量生産
再生数とアフィリエイト収入をゲット
まさに「災害への不安を金に換える錬金術」の完璧な実例である。
予言村の「創作意欲」に脱帽
結論として、今回の「宜保愛子2025年予言」騒動は、ネット時代における都市伝説創作の教科書のような事例である。
既存の有名人の権威を借り、後付けで辻褄合わせをし、「封印されていた」「遺族が公開を決めた」という設定で信憑性を演出し、タイミング良く市場に投入する。
そして大量のコンテンツクリエイターが群がって解説動画を量産し、広告収入を得る。
予言村の住民たちの「創作意欲」と「商売っ気」には、ある意味で敬意を表したい。現代の新しいエンターテイメント産業と言えるかもしれない。
ただし、故人の名前を勝手に使って金儲けするのは、いかがなものかとは思うのだが。
きっと本物の宜保愛子さんが霊界から見ていたら、「あら、私そんなこと言ってないわよ」と苦笑いしていることだろう。