はじめに:予言が生む新たなゴールドラッシュ
最近、「2025年7月5日午前4時18分に日本で大災害が起きる」という予言が話題になっていますね。発端は漫画家のたつき諒さんの作品「私が見た未来 完全版」に描かれた予知夢の話です。過去に東日本大震災を予知していたという実績もあって、SNSを中心に大きな話題となりました。
ところが、この予言ブームに便乗して、なんとも興味深い「商品」が続々と登場しているのです。今回は、その代表格である某電子書籍と某映画作品を取り上げて、現代の予言ビジネスの実態について考えてみたいと思います。
事例1:突如現れた「大震災予言者ユウキ」という謎の人物
まず注目したいのが、Amazonで販売されている「2025年7月5日巨大地震: 午前4時18分に隠された警告と未来への符合」という電子書籍です。
著者プロフィールの謎
この本の著者は「大震災予言者ユウキ」となっています。しかし、この人物について調べてみても、過去の予言実績や詳しいプロフィールは一切見つかりません。まるで、この予言ブームが始まった瞬間に突然現れた幽霊のような存在です。
「大震災予言者」という肩書きも実に興味深いですね。自分で自分を「予言者」と名乗ってしまう、このストレートさ。もう少しひねりがあってもよかったのではないでしょうか。「予知能力研究家」とか「災害予測アナリスト」とか、いくらでも言い方はあるでしょうに。
タイトルに込められた「努力」
「午前4時18分に隠された警告と未来への符合」というサブタイトルも秀逸です。「隠された警告」「未来への符合」という、いかにも意味ありげなキーワードを散りばめて、読者の好奇心を刺激しようとする姿勢が伝わってきます。
特に「符合」という言葉のチョイスが絶妙ですね。「一致」や「関連」ではなく、あえて「符合」を使うことで、なんとなく神秘的な雰囲気を演出しています。これぞプロの仕事と言えるでしょう(皮肉です)。
共著者の豪華なラインナップ
さらに驚くべきは共著者のラインナップです。「オアスペ研究家ダイン」「南海トラフ研究家マヒト」「AI漫画家きたかん」「ナレッジノヴァ出版」と、まさに「研究家」のオンパレード。
特に「AI漫画家」という肩書きは時代を感じさせます。AIブームにも便乗している姿勢が評価できます。そして「ナレッジノヴァ出版」は出版社なのでしょうが、なぜか著者としてクレジットされているという謎仕様。もはや何でもありの世界です。
事例2:超スピード映画制作の奇跡
次に取り上げたいのが、映画「2025年7月5日午前4時18分」です。この作品の制作スピードには、本当に感動を覚えます。
企画から公開まで驚異の3ヶ月
この映画、2025年4月10日に製作発表があり、6月27日に劇場公開されました。つまり、企画から完成まで約3ヶ月という超短期間での制作です。
通常、映画制作には企画から公開まで1年以上かかるのが普通です。脚本執筆、キャスティング、撮影、編集、宣伝活動など、やるべきことは山ほどあります。それを3ヶ月でやり遂げた制作陣の情熱には、本当に頭が下がります。
もちろん、予言の話題が盛り上がっている「今」でなければ意味がないという、ビジネス的な判断があったのでしょう。タイミングを逃せば、せっかくの美味しいネタが無駄になってしまいますからね。
予言をホラーエンターテイメントに昇華
この映画のストーリーも実に巧妙です。単純に「7月5日に災害が起きる」という話ではなく、「予言を知った主人公の身の回りで不可解な現象が起き始める」というホラー仕立てにしています。
これにより、「予言が当たるかどうか」という問題から巧妙に逸らして、純粋なエンターテイメント作品として成立させているのです。もし7月5日に何も起きなくても、「あれはホラー映画だから」で済ませることができる、実に賢い戦略です。
キャスティングの妙
主演にAKB48の小栗有以さんを起用したのも、なかなか計算されたキャスティングだと思います。若い女性ファンを取り込むことができるし、話題性も十分です。
船ヶ山哲さんという、ビジネス書作家から俳優・歌手に転身したという異色の経歴の方との組み合わせも興味深いですね。まさに「話題性重視」のキャスティングと言えるでしょう。
現代社会が生み出す「予言ビジネス」の構造
SNSが加速させる情報拡散
今回の予言ブームの背景には、SNSによる情報拡散の力があります。従来なら、こうした予言は一部のオカルト愛好者の間で細々と語り継がれる程度のものでした。
しかし、TwitterやTikTokなどのSNSプラットフォームが普及した現在では、興味深い情報は瞬く間に拡散されます。特に災害に関する情報は、多くの人の不安を刺激するため、拡散力が非常に強いのです。
そして、この情報拡散に敏感に反応したのが、数多くの便乗商品です。電子書籍プラットフォームでは「7月5日大予言研究委員会」なる組織が漫画を出版し、YouTubeでは一部インフルエンサーが関連動画で月50万円以上の広告収益を得ているとされます。TikTokでは関連ハッシュタグが数千万回再生を記録し、都市伝説系YouTuberは7月5日当日にイベントまで開催する始末です。まさに「予言エコシステム」の完成といえるでしょう。
不安をマネタイズする仕組み
そして、この情報拡散の流れに敏感に反応するのが、今回のような「便乗ビジネス」です。人々の関心が高まっているトピックに素早く商品やコンテンツを投入して、短期間で利益を上げようとする手法です。
特に電子書籍は制作コストが低く、出版までの期間も短いため、こうした「瞬発力勝負」のビジネスには最適なメディアと言えるでしょう。映画も、低予算で短期制作すれば、十分に利益を上げることは可能です。
「エンターテイメント」という免罪符
そして、これらのコンテンツの多くは「エンターテイメント」「フィクション」という位置づけを取ることで、責任を回避しています。
と言えば、たとえ予言が外れても、社会に混乱を与えても、法的な責任を問われることはほとんどありません。非常に巧妙な仕組みです。
社会への影響を考える
風評被害の実態
しかし、こうした「エンターテイメント」が実際に社会に与えている影響は決して軽くありません。報道によると、この予言の影響で、台湾や香港などのアジア各国から日本への旅行予約が減少しているということです。
観光業界にとっては、これは深刻な問題です。夏の繁忙期を控えた大切な時期に、根拠のない予言によって客足が遠のいてしまう。これは明らかに風評被害と言えるでしょう。
防災意識への影響
一方で、「防災意識を高めるきっかけになる」という肯定的な意見もあります。確かに、普段災害について考えることの少ない人々が、この機会に防災グッズを準備したり、避難経路を確認したりするかもしれません。
しかし、それは結果論であって、予言ビジネスを正当化する理由にはならないでしょう。本当に防災意識を高めたいなら、科学的根拠に基づいた正確な情報を提供すべきです。
私たちはどう向き合うべきか
メディアリテラシーの重要性
この問題から学ぶべきは、メディアリテラシーの重要性です。どんな情報でも、まずは「誰が」「なぜ」「どのような根拠で」発信しているのかを冷静に見極める必要があります。
特に、災害や健康に関する情報については、より慎重な判断が求められます。感情的にならず、科学的な視点で情報を評価する習慣を身につけることが大切です。
便乗ビジネスの見抜き方
今回のような便乗ビジネスを見抜くポイントはいくつかあります。
- タイミングの不自然さ:話題になった直後に突然現れる商品や著者は要注意
- 過度に煽動的なタイトル:不安を煽るような表現を多用している
- 根拠の薄さ:具体的なデータや科学的根拠が示されていない
- 責任の曖昧さ:「エンターテイメント」「フィクション」という逃げ道を用意している
本当に大切なこと
結局のところ、災害への備えは日頃から継続的に行うものです。予言に頼るのではなく、気象庁や自治体が発信する正確な情報に基づいて、適切な防災対策を講じることが重要です。
そして、こうした予言ビジネスに踊らされることなく、冷静に情報を見極める力を身につけることが、現代社会を生きる上での必須スキルと言えるでしょう。
おわりに:予言の日を迎えて
この記事を書いている今、まさに2025年7月5日が目前に迫っています。おそらく、何事もなく平穏な一日が過ぎることでしょう。
そのとき、今回の予言ビジネスに関わった人々は何を思うのでしょうか。「外れてよかった」と安堵するのか、それとも「次のネタ」を探し始めるのか。
いずれにせよ、私たち一般市民にできることは、こうした情報に振り回されることなく、冷静で建設的な態度を保ち続けることです。そして、本当に価値のある情報と、単なる便乗商法を見分ける目を養い続けることです。
最後に一つだけ予言をさせていただくとすれば、7月5日が過ぎた後も、きっと新しい「予言」や「都市伝説」が現れて、また同じような騒動が繰り返されることでしょう。
その時こそ、今回の経験を活かして、より賢明な判断ができるよう、私たち自身が成長していることを願っています。
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