【科学的検証】トカラ列島群発地震と「7月5日予言」の真実 - 正しい防災意識で備える地震対策

2021年に復刊された『私が見た未来完全版』には、新たな予言が収録されており、2025年7月に東日本大震災の3倍の高さ（120m級）の大津波が日本列島を襲うとされています。この津波の衝撃で陸地が盛り上がり、香港から台湾、フィリピンまでが地続きになるという予知夢だとされています。この破滅的な津波により、日本列島の太平洋側の3分の1から4分の1が飲み込まれると予言されています。

重要な誤解の修正：「7月5日」という日付は、漫画の「あとがき」で、たつきさんが夢を見た日として明記されており、災害が起こる日として断定的に書かれているわけではありません。また、予知夢は「災難を避ける」手段でもあるとも書かれています。

科学的な検討と信憑性

東日本大震災の津波の最大高さは40.5mでしたが、その3倍にあたる120m級の津波は、フィヨルド内など局地的な場所を除いてまず発生しないとされています。太平洋側の3分の1から4分の1が津波に飲み込まれるというのも不可能です。

小惑星の衝突によって100mを超える外洋津波が起こる可能性はありますが、発生頻度は数万から数十万年に1度以下であり、現在、7月前後に地球に衝突する可能性のある小惑星は観測されていません。

一度の地震で香港・台湾・フィリピンが「地続き」になることは地球物理学的に不可能だとされています。台湾とフィリピンをつなぐには数千メートルの隆起が必要で、現実的には数百万から数千万年かかると考えられています。

これらの検討から、たつき諒さんの予言が当たる確率は限りなくゼロに近いと結論付けられています。

たつき諒さん自身も、新たな著書で「7月5日」は夢を見た日付であり、大災害が起こる日ではないと見解を修正しています。彼女は「夢を見た日＝何かが起きる日というわけではない」と明確に否定し、「7月5日の予言」は情報が歪んで伝わったデマだと考えています。

トカラ列島近海における群発地震について

現在の地震活動

2025年6月に入り、鹿児島県のトカラ列島近海で群発的な地震が頻発しています。6月21日から22日のわずか2日間で180回以上の地震が観測され、28日午前11時までには震度1以上の地震が515回に達しました。震度4の揺れも複数回観測されており、十島村の悪石島などでは夜間の避難を余儀なくされた住民もいます。

最新統計：6月29日10時までの累計では539回の有感地震を記録し、近年の群発地震の中でも特に活発な活動となっています。

群発地震の特徴とメカニズム

トカラ列島は、フィリピン海プレートとユーラシアプレートの境界に位置する地質学的に非常に活発な地域です。この地域は「横ずれ断層型」の地震が多く、プレートの沈み込みや引き延ばされる動きによってひずみが蓄積されやすい構造になっています。

この地域は「地震の巣」とも呼ばれ、32年連続で年間約1000回もの地震が観測されるなど、もともと地震活動が非常に活発な地域です。過去にも数百回規模の群発地震が何度も発生しており、例えば2021年4月には1週間で200回以上の地震が観測されています。

気象庁は、今回の地震活動をプレート境界でのひずみ蓄積による「自然現象」として経過を見守っており、現時点では特別な異常とはしていません。

火山活動や都市伝説との関連性

新燃岳の火山活動

新燃岳（宮崎・鹿児島県境）では、2025年3月末に火山性地震が急増し、気象庁が噴火警戒レベルを2から3（入山規制）に引き上げました。マグマの浅部上昇を示す兆候が確認されており、小規模な噴火も発生しています。トカラ列島の地震と新燃岳の火山活動は、九州南部の同じプレート境界上で発生していますが、現時点で明確な因果関係は確認されていません。しかし、「共通のトリガー（誘因）」による連動的な活動の可能性は否定できないとされています。

「トカラの法則」

インターネット上では、「トカラ列島で群発地震が起きると、その後、日本のどこかで大地震が発生する」という「トカラの法則」が噂されています。しかし、熊本大学の横瀬久芳准教授（海洋火山学）を含む専門家は、「科学的な根拠は一切ない」と明確に否定しています。

これまでのデータ分析では、トカラ列島の地震と他の場所で起こるマグニチュード7以上の地震との間に連動性は見られず、遠く離れた地域の地震活動を直接結びつけることは困難であるとされています。

「トカラの法則」は、心理学でいう「後知恵バイアス」の影響があると考えられており、人は大きな出来事の後に過去の出来事を「前兆だったのでは」と意味づけしたくなる傾向があるため、偶然の一致を結びつけた俗説とされています。

「2025年7月〜8月に九州で壊滅的な災害」説

一部の予言・スピリチュアル界隈では、九州で壊滅的な災害が起きる、あるいは日本列島が真っ二つになるという説が広がっています。これらも科学的根拠がなく、地震や噴火の予測は非常に難しく、特定の月に起きると断言できる手段は現代の地球科学には存在しません。

今後の見通しと備え

気象台や専門家は、今後もしばらく有感地震が続く可能性があるとして警戒を呼びかけています。群発地震がいつ収束するかを正確に予測することは、現代の地震学でも難しいとされています。

政府や気象庁などの公的機関が発表する情報が最も信頼できます。気象庁の野村竜一長官は、日時と場所、大きさを特定した地震予知は不可能であり、そのような予知の情報はデマだと述べています。

不確かな噂に惑わされることなく、冷静に現実を受け止め、準備を怠らないことが重要です。

具体的な対策

自治体が発行するハザードマップの確認

避難経路や緊急時の集合場所の家族との共有

非常持出袋の定期的な点検（食料、水、医薬品、情報ツールなど）

地域の防災訓練への参加

まとめ：地震や津波などの自然災害は確実に予測することはできませんが、科学的根拠に基づいた正しい情報を元に判断し、日頃からの備えを怠らないことが最も重要です。不安な情報に惑わされることなく、冷静に対処し、みんなで協力して安全な社会を築いていくことが求められています。