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性的被害の相談後に水泳授業を委託 逮捕コーチが中学校で4回指導 牧之原市教委の判断に疑問

牧之原市のスイミングコーチ逮捕と水泳授業委託問題を伝えるニュース風イメージ

静岡県牧之原市で、中学校の水泳授業を委託していたスイミングスクールのコーチが、小学生女児への不同意わいせつ容疑で逮捕された。

さらに、委託前の段階で同スクールの児童に対する性的被害を疑う相談が市内の学校に寄せられていたことが判明。市教委の対応が問われている。

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44歳のスイミングコーチを不同意わいせつ容疑で逮捕

不同意わいせつの疑いで逮捕されたのは、静岡県掛川市小貫に住むスイミングスクールコーチの男(44)。

警察によると、男は2025年6月下旬、牧之原市のスイミングスクール「エースワン」で、指導中の10代の小学生女児に対して、わいせつな行為をした疑いが持たれている。

警察の調べに対し、男は「やりました」と容疑を認めているという。

事件が警察に持ち込まれたのは2026年7月下旬。女児の母親が警察へ相談し、その後、男の自宅などへの家宅捜索を経て、9月28日に逮捕された。

少なくとも8年間、指導に関わっていた

男は、牧之原市内のスポーツクラブでアルバイトとして勤務し、少なくとも8年間にわたり指導などを行っていたと報じられている。

つまり、短期間だけ勤務していた臨時スタッフではなく、長期間にわたり子どもと接する立場にあったことになる。

今後は、今回の逮捕容疑となった1件だけでなく、過去の指導中に同様の被害がなかったかどうかも重要な捜査対象になる可能性がある。

牧之原市は2026年度から中学校の水泳授業を委託

この事件をさらに重大にしているのが、牧之原市が2026年度から、同じスポーツクラブ「エースワン」に牧之原市立榛原中学校の水泳授業を委託していたことだ。

榛原中学校では学校プールの老朽化が著しく、市は試行も兼ねて外部委託を導入。入札の結果、市内唯一のスイミングスクールだったエースワンが委託を受けた。

そして、逮捕された男自身も、2026年7月6日から9月25日にかけて計4回、中学校の水泳授業を担当していた。

委託前の6月22日、すでに「性的被害」の相談があった

最大の問題はここだ。

牧之原市によると、2026年6月22日、牧之原市内の学校の保護者から、エースワンの児童に対する性的被害が疑われる相談が学校に寄せられていた。

報告を受けた市教委は、エースワンに聞き取り調査を実施。

しかしスクール側からは「そういう事実はない」との回答があったという。

市教委はその説明を受けたうえで、身体への接触を行わず口頭で指導するよう依頼し、その後エースワンとの水泳指導業務の委託契約を結んだ。

疑われたインストラクターを特定しなかった

10月6日の保護者説明会後に行われた記者会見では、市教委の対応について厳しい質問が出た。

性的被害を疑う相談が寄せられた段階で、問題のインストラクターが誰なのか特定しようとしたのか。

これに対し市教委は、保護者の感情にも配慮したとして、学校などを通じて指導者名を尋ねなかったと説明した。

結果として、その後逮捕されることになる男が中学校の授業を実際に担当した。

ここは、今回の問題で最も重い部分の一つだ。

「事実なし」というスクール側の回答だけで委託を進めたのか

市教委は、性的被害を疑う相談を把握したあと、エースワン側に聞き取りを行った。しかし、スクール側が「そういう事実はない」と回答したため、委託そのものは中止しなかった。

もちろん、相談があっただけで直ちに事実と断定することはできない。虚偽申告や誤解の可能性もあるため、慎重な確認が必要だ。

ただし、今回は子どもの身体に直接触れる水泳指導であり、しかも学校教育の一環として市が業務委託する場面だった。

そのため、通常の民間サービスより高い安全確認が求められる。

少なくとも、問題となった指導者が誰なのか、過去に同様の苦情がないか、勤務歴や指導体制に問題がないかなど、より踏み込んだ確認を行う余地はあった。

実際に逮捕された男が中学校で4回指導

結果として、後に逮捕されることになる44歳の男は、2026年7月6日から9月25日までの間に4回、榛原中学校の水泳授業を担当した。

市教委が6月22日に相談を把握した後のことだ。

つまり、性的被害を疑う情報が一度行政側に入っていたにもかかわらず、その後も該当スクールの指導者を中学校の授業へ入れる判断が続いたことになる。

この時系列が、保護者の不信感を強めている。

中学生への被害は確認されているのか

現時点で、榛原中学校の水泳授業において逮捕された男が生徒へわいせつ行為をしたと確認された情報は出ていない。

そのため、「中学校でも被害があった」と断定することはできない。

ただし、学校側と市教委は、授業を受けた生徒や保護者に不安が広がっていることを重く受け止める必要がある。

本人が被害だと認識していないケースや、言い出せずにいるケースがないかも含め、慎重な聞き取りや相談窓口の整備が求められる。

10月6日に保護者説明会

牧之原市は10月6日、榛原中学校で保護者説明会を開いた。

説明会では、市教委がこれまでの経緯や、委託前に性的被害を疑う相談を把握していたこと、その後スクール側へ聞き取りを行ったことなどを説明した。

保護者からは、なぜ問題のインストラクター名を確認しなかったのか、なぜ委託契約を進めたのか、安全確認は十分だったのかといった疑問が出たと報じられている。

市教委は「保護者の感情に配慮」と説明

問題のインストラクター名を確認しなかった理由について、市教委は、相談した保護者の感情にも配慮したためだと説明している。

一方で、その結果として、誰が疑われていたのかを特定できないまま委託が進み、逮捕された男が中学校の授業を担当することになった。

「相談者への配慮」と「他の子どもの安全確認」をどう両立させるべきだったのか。今回の件は、その難しさを突きつけている。

身体接触を避けるよう依頼していた

市教委は、スクール側に対して、児童生徒の身体へ直接触れず、口頭で指導するよう求めていたという。

これは、市教委側も一定のリスクを認識していたことを示す対応とも受け取れる。

しかし、危険性を完全には否定できないと考えていたのであれば、なぜ委託継続を選んだのかという疑問も残る。

外部委託そのものが悪いわけではない

学校プールの老朽化や教員の負担軽減を背景に、水泳授業を民間スイミングスクールへ外部委託する自治体は増えている。

専門指導員による授業、天候に左右されにくい屋内プール、維持費削減など、多くのメリットがある。

今回も、外部委託という制度自体が問題なのではない。

問われるのは、委託先の選定と安全確認だ。

専門性だけでなく「子どもと接する人物」のチェックが必要

水泳指導を外部委託する場合、自治体は泳法の専門性や施設設備だけでなく、実際に児童生徒へ接するスタッフの適格性を確認する必要がある。

過去の苦情、勤務状況、研修履歴、指導ルール、複数人での監督体制なども安全管理の一部になる。

今回のように、委託前に具体的な性的被害を疑う相談があったケースでは、より慎重な調査が必要だったと考えられる。

「学校の先生ではない」からこその盲点

学校教員であれば、採用や服務規律、懲戒制度など一定の管理体制がある。

一方、民間委託の場合、指導者は自治体の直接雇用ではない。

そのため、誰を現場に配置するかを委託先企業に任せる部分が大きくなる。

自治体側が「会社と契約したから大丈夫」と考えてしまえば、実際の指導者個人へのチェックが弱くなる危険がある。

逮捕された男は容疑を認めている

警察の調べに対し、44歳の男は「やりました」と供述し、逮捕容疑を認めているという。

もちろん、今後の刑事手続きで具体的な事実関係や犯行態様が明らかになる。

ただ、本人が認めていると報じられていることで、捜査の焦点は「今回の1件だけなのか」という点へ移っていく可能性がある。

少なくとも8年勤務 余罪捜査が重要に

男は少なくとも8年間、スイミング指導に関わっていた。

長期間にわたり多くの児童と接していた可能性があるため、警察は過去にも同様の被害がなかったか慎重に調べるとみられる。

過去の受講生や保護者から新たな相談が寄せられる可能性もある。

被害申告のハードルが高い水泳指導

水泳指導では、泳ぎを補助するため身体に触れる場面が通常の指導として存在する。

そのため、児童側が「これは普通の指導なのか、それとも不適切な接触なのか」と判断しづらい場合がある。

特に小学生の場合、大人の指導者に対して違和感を訴えること自体が難しい。

だからこそ、複数の指導者を配置する、身体接触のルールを明確にする、保護者や児童が相談できる窓口を設けるといった仕組みが重要になる。

被害相談が学校へ寄せられた意味

今回、性的被害を疑う相談はスクールではなく学校側に寄せられた。

これは、相談者がスクール内部だけで解決するのではなく、教育機関へ助けを求めたとも考えられる。

学校や市教委が相談を受けた時点で、どこまで調査権限があり、どこから警察や児童相談機関へつなぐべきだったのかも検証が必要だ。

「事実なし」という回答をどう検証したのか

スクール側は市教委の聞き取りに対し、「そういう事実はない」と答えたとされる。

ここで重要なのは、その回答をどのように検証したのかだ。

単に事業者から否定回答を受け取っただけなのか。

指導記録や担当者への聞き取り、過去の苦情記録などを確認したのか。

現時点の報道では、詳細な検証手続きまでは明らかになっていない。

委託契約前に警察へ相談する選択肢はなかったのか

性的被害を疑う相談が具体的に寄せられていた以上、市教委が警察など外部機関へ相談する選択肢も考えられた。

もちろん、相談内容の具体性や本人・保護者の意向によって対応は変わる。

ただ、学校教育の委託先として契約する直前だったことを考えれば、通常より慎重なリスク評価が必要だった。

保護者が最も知りたいのは「なぜ4回も授業に入れたのか」

今回の問題で、保護者が強く疑問を抱くのはここだろう。

相談を把握していた。

スクールへ聞き取りもした。

身体接触を避けるよう指示もした。

それでも契約し、結果として逮捕された男が4回授業を担当した。

この一連の判断について、市教委はより具体的な説明を求められる。

再発防止は「接触禁止」だけでは足りない

児童生徒への身体接触を禁止するだけでは、安全対策として十分とは言えない。

複数指導制、授業中の教員立ち会い、指導者名簿の事前提出、苦情共有ルール、外部相談窓口などを組み合わせる必要がある。

また、委託先企業がスタッフを入れ替える場合にも、自治体側が誰が現場へ入るのか把握できる仕組みが必要だ。

今後の焦点は「余罪」と「市教委の検証」

今回の事件は、44歳の男の刑事責任だけで終わる問題ではない。

過去8年間にほかの被害がなかったのか。

榛原中学校の授業中に問題行為はなかったのか。

スクール側は過去の相談をどう把握していたのか。

市教委は6月22日の相談後、どこまで安全確認を行ったのか。

なぜ問題となった指導者名を確認しなかったのか。

そして、なぜその人物を中学校の授業へ4回入れることを防げなかったのか。

これらが今後の最大の焦点になる。

「相談はあった。しかし名前を確認しなかった」

今回の件を象徴するのは、この一点だ。

委託前に性的被害を疑う相談は存在していた。

それでも問題の指導者を特定するところまで踏み込まず、後に逮捕される男が学校授業を担当した。

結果論だけで行政の判断を断罪することはできない。

しかし、子どもの安全を最優先するなら、どの段階でより強い確認や外部機関への相談を行うべきだったのか、徹底した検証が必要だ。

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