札幌市西区に拠点を置く建設会社「花井組」で起きた衝撃的な暴行事件。その恐るべき内部実態が次々と明らかになっています。今年3月25日午前9時48分、七戸義昭社長が従業員に振るった暴力の一部始終が防犯カメラに収められ、SNSで拡散。「殴る」「蹴る」だけではない、日本刀を用いた恐怖の脅迫行為まで発覚し、北海道内外に大きな波紋を広げています。
暴露系インフルエンサーによって5月7日にSNSで公開された約2分間の映像。そこには社長とされる作業服姿の中年男性が、オレンジ色の上着を着た従業員を平手打ちし、腹部に膝蹴りを食らわせ、髪を掴んで頭を揺さぶるという衝撃的な場面が映し出されていました。
社長は従業員を押し倒し、馬乗りになって更に暴行。泣き叫ぶ被害者に対し「ふざけんな俺に歯向かう気か」と怒鳴りながら顔面を蹴り続ける様子も...
被害者男性の証言によれば、この暴行の発端は会社で世話をしていたコイだったといいます。「コイの水槽の掃除を命じられた際、社長の奥さんに『取って』と言われて『わかった』と声を荒げて返事をしたことが社長の気に障った」と被害者は語っています。より詳しい報道では、ニシキゴイの水槽への薬剤投入ミスが関係していたとも伝えられています。
恐ろしいことに、現場には社長の妻と常務も居合わせていましたが、暴行は約1時間にわたって続いたといいます。被害者男性は「暴行回数は20回くらい前後」と証言しており、その様子を目の当たりにした人物たちも止めることなく、むしろ幇助していたとされています。
かつて花井組で半年ほど働いていた元従業員からも、社長による過酷な「指導」が以前から日常的に行われていたという証言が寄せられています。「説教好きというか、特定の社員と決めたらしばらくはその社員をよく呼び出して説教するというのが結構行われていて、私の時は女性社員だったんですけど、もう本当に1日中に近い時もありました」
さらに衝撃的なのは、元従業員の家族からの証言です。現場でミスをすると連帯責任が課され、社長が日本刀を取り出して「指から切るか、腕からいくか」と従業員を脅していたといいます。
何をされるか分からない恐怖で、誰も抵抗できなかった
と元従業員の家族は証言しています。この衝撃的な証言に対し、ネット上では「日本刀ではなく『ドス』だった」という指摘もありますが、いずれにせよ武器を用いた脅迫行為であることに変わりはありません。
HBT北海道テレビが入手した会社のグループLINEからは、社長への「絶対服従」の風潮が明らかに。朝起きてから会社に到着するまでの間に全員が挨拶のメッセージを送ることが義務付けられ、休日や連休中でも例外なしだったといいます。
「おはようございます。みなさんおはようございます、おはようございます・・・」
元従業員は「これは休日だろうが連休だろうが平日だろうが、もう毎日入れなければというか、当然のように習慣づいている」と証言。さらに驚くべきことに、社長からのメッセージには仕事中や運転中であっても即座の返信が求められていたといいます。
社長からの「気持ちを汲めない者は捨てていくんだ、良いな。一期一会な、良いな。それには普段の姿勢が全てな!」というメッセージに対し、従業員たちは「社長解りました」と繰り返すのみ。社長に意見を言うことは許されない状況だったと元従業員は語っています。
対外的には「札幌SDGs登録企業」として認定され、「さっぽろまちづくりスマイル企業」としてクリーンなイメージを発信していた花井組。さらに、2024年には経済産業省系の「健康経営優良法人(ネクストブライト1000)」にも選定されていました。
創業は1939年(昭和14年)11月。北海道三笠町で「土木請負業花井組」として始まり、2025年時点で創業88年を迎える地域密着型の老舗企業です。公式ホームページでは「目指せ100年企業」とうたっていましたが、内部実態は防犯カメラに捉えられた暴行映像や元従業員の証言によって、まったく異なるものだったことが明らかになっています。
衝撃的なことに、七戸義昭社長の名前は北海道警察の「交通安全活動推進委員」名簿にも記載されていたことがわかりました。交通マナー啓発を担う立場でありながら、自らが長時間にわたり従業員を殴打していたという矛盾に、ネット上では「警察は関係を見直すべき」という声も上がっています。
SNS上で特定されたとされる七戸社長のInstagramアカウントには、全身刺青の写真も掲載されていたといい、その外見からも「反社会的勢力に近いのでは」との憶測も広がっています。
この暴行事件の発覚を受け、プロバスケットボールチーム「レバンガ北海道」はスポンサー契約を即日解除。「このような暴力的な行為は、スポーツの健全性や地域社会への信頼に著しく反するものであり、当クラブとしても看過できるものではありません」と声明を発表しました。
また札幌市も、花井組に対する「さっぽろまちづくりスマイル企業」などの各認証制度の取り消し手続きを進めることを明らかにしています。花井組のホームページも8日夜から閲覧できない状態となり、「このドメインはサイトに接続されていません」と表示される状態になっています。
暴行を受けた従業員は既に会社を退職し、警察に被害届を提出。これに対し花井組側は「事実と異なる点が多く」と主張しながらも、代理人弁護士を通じて「恐らく(暴行は)そうなのではないか」と認める姿勢を示し、示談に向けて動いていると伝えられています。
さらに、被害者男性の証言では、暴行に加わっていた常務とされる人物が被害者を後ろから押さえつけて逃げられないようにしていたという詳細も明らかになっています。これにより、会社ぐるみの暴力体質が浮き彫りとなっています。
この事件は、企業のコンプライアンスと労働環境の重要性を改めて問う事例となっています。表向きの企業イメージと内部実態の乖離、そして権力を背景にした暴力や脅迫が許される職場環境の危険性を私たちに突きつけているのです。「目指せ100年企業」を掲げていた花井組ですが、今回の事件をきっかけに企業としての存続すら危ぶまれる状況となっています。