アメリカン・エキスプレス(通称アメックス)は世界的に知名度の高いクレジットカードブランドで、そのステータス性と充実した特典から多くの方に人気があります。しかし同時に、審査が厳しいことでも知られています。特に信用情報に傷がある方にとっては、審査通過のハードルは高く感じられるかもしれません。

しかし、実は信用情報に多少の問題があっても、適切な対策と準備によってアメックスカードを手に入れることは可能です。この記事では、信用情報に不安のある方がアメックスの審査に挑戦する際のポイントを徹底的に解説していきます。

アメックスの審査基準を理解する

アメリカン・エキスプレスの審査では、主に以下の要素が重視されています。

信用情報(クレジットヒストリー)

アメックスは申込者の信用情報を重視します。具体的には、過去の借入返済状況、他社クレジットカードの利用状況、延滞歴などを確認します。いわゆる「ブラックリスト」と呼ばれる状態、つまり信用情報機関に延滞などのネガティブな情報が登録されている場合、審査に通りにくくなるのは事実です。

しかし、信用情報に傷があるからといって、必ずしも審査に落ちるわけではありません。アメックスは総合的な審査を行っているため、他の要素で補うことも可能です。

年収・安定収入

アメックスは申込者の収入も重視します。特にゴールドカードやプラチナカードといった上位カードでは、相応の年収が求められます。一般的に、年収300万円以上であれば基本カードの審査に通る可能性があります。ゴールドカードでは500万円以上、プラチナカードではさらに高い年収が望ましいとされています。

職業・勤続年数

安定した職業に就いているかどうかも重要な審査ポイントです。公務員や大手企業の正社員など、安定した職業に就いている場合、審査で有利になることがあります。また、同じ会社での勤続年数が長いほど、安定性があると評価されます。

他社カードの保有状況

他社のクレジットカードをすでに保有しており、それを適切に利用している実績があると、審査で有利になることがあります。特に他の高ステータスカードを保有していると、アメックスの審査でもプラスに働く可能性があります。

信用情報に問題がある場合の対策

信用情報に問題がある場合、いわゆる「ブラックリスト」状態の場合でも、以下の対策を講じることで審査通過の可能性を高めることができます。

延滞情報の確認と解消

まず、自分の信用情報を正確に把握することが重要です。CIC(株式会社シー・アイ・シー)やJICC(日本信用情報機構)、全国銀行個人信用情報センターなどの信用情報機関で、自分の信用情報を開示請求することができます。

延滞情報がある場合は、まずその債務を完済することが第一歩です。延滞中の債務がある状態では、新たなクレジットカードの審査に通ることは難しいでしょう。

信用回復期間を設ける

延滞情報は完済しても、すぐには信用情報から削除されません。一般的に、信用情報の記録は5〜10年間保持されますが、時間の経過とともに影響は小さくなります。

できれば、延滞情報が登録されてから一定期間(半年〜1年以上)経過してから申し込むことをおすすめします。この間に他の支払いを確実に行い、良好な信用履歴を積み重ねることが重要です。

収入証明書の提出

アメックスの審査では、年収が重要な判断材料になります。特に信用情報に問題がある場合は、安定した高収入があることを証明することで、リスクを相殺できる可能性があります。

申し込み時に収入証明書(源泉徴収票や給与明細など)を積極的に提出しましょう。高収入であることが証明できれば、審査でのマイナス要素を補えることがあります。

既存カードの利用実績を作る

他社のクレジットカードをすでに持っている場合は、そのカードを適切に利用し、きちんと返済する実績を積み重ねることが重要です。毎月の利用と返済を繰り返すことで、信頼性をアピールできます。

まだクレジットカードを持っていない場合は、審査が比較的緩い入門レベルのカードから始めて、良好な利用実績を作ることをおすすめします。

家族カードからのスタート

直接本会員として申し込むのではなく、家族や親しい人の家族カードとして発行してもらうという方法もあります。家族カードであれば、本会員の信用情報に基づいて発行されるため、自分自身の信用情報に問題があっても発行できる可能性があります。

家族カードを数年間適切に利用した後、本会員として申し込むという段階的なアプローチも検討してみましょう。

アメックスカードの選び方

アメックスには複数の種類のカードがあります。信用情報に不安がある場合は、審査のハードルが比較的低いカードから始めることをおすすめします。

アメリカン・エキスプレス・カード(グリーンカード)

アメックスの中では最もベーシックなカードで、年会費も比較的リーズナブルです。審査基準も他のアメックスカードと比較して緩やかなため、信用情報に不安がある方にもおすすめです。

アメリカン・エキスプレス・ゴールド・カード

グリーンカードよりも特典が充実していますが、その分審査基準も厳しくなります。年収や職業安定性などで補える自信がある場合は挑戦してみる価値があります。

提携カード

アメックスには、ANAやデルタ航空、高島屋など、様々な企業との提携カードがあります。これらの提携カードは、通常のアメックスカードと比較して審査基準が若干異なることがあります。特に利用する予定の企業との提携カードであれば、そのメリットを活かしつつ、審査に挑戦してみるのも一つの方法です。

申込み前の準備と申込み時のポイント

申込み前の準備
1

自己診断を行う:自分の現在の信用状況、年収、職業などを客観的に評価し、アメックスの審査基準に照らし合わせて、通過の可能性を検討しましょう。

2

他社カードの支払い状況を整える:他社カードの支払いに遅延がないか確認し、残高がある場合は可能な限り減らしておきましょう。

3

申込みのタイミングを見極める:ボーナス時期など、口座に余裕がある時期に申し込むと、金融機関からの信用評価が高まることがあります。

申込み時のポイント
1

正確な情報を記入する:申込書には正確な情報を記入しましょう。虚偽の情報を記入すると、発覚した場合にカードが強制解約されるリスクがあります。

2

収入は適切に申告する:年収は適切に申告しましょう。過少申告すると審査に通りにくくなりますが、過大申告は虚偽申告になるリスクがあります。副業収入がある場合は、それも含めた総収入を申告できます。

3

連絡先情報は最新のものを使用する:審査の過程で追加情報を求められることがあるため、常に連絡が取れる電話番号やメールアドレスを記入しましょう。

4

オンライン申込みと紙の申込みの使い分け:オンライン申込みは手続きが迅速ですが、紙の申込書を使用すると、収入証明書などの追加書類を同時に提出できるメリットがあります。

審査落ちた場合の再挑戦

万が一審査に落ちてしまった場合でも、諦める必要はありません。以下のような対策を講じて、再挑戦するチャンスはあります。

再申込みのタイミング

一般的に、同じカード会社に再申込みする場合は、前回の申込みから6ヶ月以上空けることが推奨されています。この期間中に信用情報を改善するための行動を取りましょう。

信用情報の改善策

既存のローンやクレジットカードの返済を確実に行う:延滞せずに返済を続けることで、信用情報は徐々に改善していきます。

他社の入門レベルのカードを利用する:審査が比較的容易な他社カードを利用し、適切な使用と返済の実績を作りましょう。

収入や職業の安定性を高める:可能であれば、収入を増やす努力をしたり、より安定した職業に就くことで、次回の審査での評価が上がる可能性があります。

別のアメックスカードへの挑戦

もし特定のアメックスカード(例えばゴールドカード)の審査に落ちた場合は、審査基準がやや緩いカード(例えばグリーンカード)へ申し込みを変更することも検討しましょう。

まとめ:信用情報に自信がなくてもチャレンジする価値はある

信用情報に問題があっても、適切な準備と対策を行うことで、アメックスカードの審査に通過する可能性はあります。重要なのは以下のポイントです:

1

現状を正確に把握する:自分の信用情報を確認し、問題点を把握しましょう。

2

改善できる点は改善する:延滞中の債務があれば返済し、他のカードやローンの返済を確実に行いましょう。

3

強みをアピールする:収入が高い、勤続年数が長いなど、審査でプラスになる要素を積極的にアピールしましょう。

4

段階的なアプローチを取る:いきなり上位カードを狙うのではなく、審査が通りやすいカードから始めて、段階的にステップアップすることも検討しましょう。

アメックスカードは、その特典やステータス性から持つ価値のあるカードです。信用情報に不安があっても、諦めずにチャレンジする価値はあります。適切な準備と情報を持って、賢く審査に挑戦しましょう。

最後に注意点として、信用情報はあなたの経済活動の記録であり、将来のローンやクレジットカードの審査にも影響します。無理な借入や返済計画は避け、常に自分の返済能力の範囲内でクレジットカードを利用することが重要です。アメックスカードを手に入れることも大切ですが、健全な金融習慣を身につけることがさらに重要です。そうすることで、長期的に見れば、より良い条件でさまざまな金融サービスを利用できるようになるでしょう。