
わずか3日で1万個が枯渇、史上最速のコンドーム消費
2026年2月6日に開幕したミラノ・コルティナ冬季五輪の選手村で、前代未聞の事態が発生した。性感染症予防のために無料配布されていたコンドーム約1万個が、わずか3日間で完全に枯渇したのである。イタリア紙「ラ・スタンパ」が匿名の選手の証言として報じたこの事実は、瞬く間に世界中のメディアで取り上げられ、五輪選手村の「夜の実態」が改めて注目を集めることとなった。
国際オリンピック委員会(IOC)のマーク・アダムス広報部長は2月14日のバレンタインデーに行われた記者会見で、「バレンタインデーで盛り上がっていることは明らかだが、それ以上、言うことはない」と意味深なコメントを残し、緊急補充を約束した。しかし、この発言は逆に選手村での性的活動の実態を裏付ける形となり、SNS上では「氷上の熱戦だけではなかった」「夜の国際交流が盛ん」といった皮肉めいた反応が相次いだ。
約3,000人の選手が滞在する選手村で1万個のコンドームが3日で消費されたということは、単純計算で1人あたり約3.3個を使用(または持ち帰った)ことになる。この驚異的なスピードは、五輪史上最速の記録として語り継がれることになるだろう。
「お土産で持ち帰る人が多い」マダガスカル代表選手の証言
IOCの記者会見に同席したアルペンスキー女子マダガスカル代表のミアリティアナ・クレルク選手は、コンドーム枯渇の理由について興味深い証言をした。「お土産で持ち帰る人が多いようだ」という彼女の発言は、コンドームが本来の目的である性感染症予防のためではなく、五輪ロゴ入りの記念品として大量に持ち去られている実態を示唆している。
実際、過去の五輪でも選手村で配布されるコンドームは「五輪グッズ」として人気が高く、使用するためではなく記念品やお土産として持ち帰る選手が多いことが知られている。五輪のロゴが印刷されたコンドームは、大会が終われば二度と手に入らない貴重な記念品となるため、選手たちは競うように持ち帰るのだという。
しかし、この「お土産文化」が本来の性感染症予防という目的を歪め、必要な時に必要な人が入手できないという本末転倒な事態を招いている。ある選手は「追加で届くと約束されていたが、いつ来るかわからない。必要な時に手元にないのは困る」と落胆の声を漏らした。
パリ五輪の30万個から一転、ミラノ五輪はわずか1万個
今回のコンドーム枯渇問題を理解するには、過去の五輪での配布数と比較する必要がある。2024年のパリ夏季五輪では、約14,500人の選手とスタッフに対して30万個のコンドームが配布された。1人あたり約20個以上という潤沢な供給量であり、大会期間中に不足することはなかった。
ところが、ミラノ・コルティナ冬季五輪では、約3,000人の選手に対してわずか1万個しか用意されていなかった。パリ五輪の30分の1という驚くべき少なさである。冬季五輪は夏季五輪に比べて選手数が少ないとはいえ、1人あたり約3.3個という配布数は明らかに不足していた。
大会組織委員会は「過去の冬季五輪での使用実績を基に算出した」と説明しているが、実際には3日で枯渇するという需要予測の大失敗に終わった。予算削減の影響も指摘されているが、性感染症予防という公衆衛生上の重要な取り組みを軽視した結果とも言える。
1988年ソウル五輪から始まったコンドーム配布の歴史
五輪選手村でのコンドーム無料配布は、1988年のソウル夏季五輪で初めて大規模に実施された。当時、世界的にHIV/エイズの感染拡大が深刻な問題となっており、IOCは選手の健康を守るために8,500個のコンドームを配布した。これが五輪における性感染症予防の取り組みの始まりである。
その後、配布数は年々増加していった。1992年のアルベールビル冬季五輪では36,000個、2000年のシドニー夏季五輪では90,000個、2012年のロンドン夏季五輪では150,000個と、大会を重ねるごとに配布数は増え続けた。そして2016年のリオデジャネイロ夏季五輪では、史上最多となる450,000個が配布された。
この配布数の増加は、性感染症予防の重要性が高まったことを示すと同時に、選手村での性的活動が年々活発化していることの証左でもある。五輪という特殊な環境下で、世界中から集まった若いアスリートたちが「夜の国際交流」を楽しんでいる実態が、配布数の増加という形で可視化されているのだ。
東京五輪での特殊事情とパリ五輪での復活
2020年東京夏季五輪(実際には2021年開催)では、コロナ禍という特殊な状況下で開催されたため、コンドームの配布方針も大きく変わった。約150,000個が用意されたものの、選手村での性的接触は推奨されず、「持ち帰って自国で使用してください」というメッセージが添えられた。実際の使用は大幅に減少したと推測される。
しかし、2024年のパリ夏季五輪では、コロナ禍の制限が完全に撤廃され、30万個という大量のコンドームが配布された。さらにパリ五輪では「快楽と同意を支持する包括的な性的健康キャンペーン」が実施され、性的健康に関する啓発活動も積極的に行われた。これは、性感染症予防だけでなく、性的同意や性的多様性への理解を深める取り組みとして評価された。
パリ五輪での潤沢な供給と積極的な啓発活動は、ミラノ五輪の1万個という配布数の少なさを際立たせる結果となった。わずか2年前の大会と比較して、あまりにも大きな落差があったのである。
「自分で用意すれば良くない?」野口健氏の正論
ミラノ五輪のコンドーム枯渇問題が報じられると、登山家の野口健氏がX(旧Twitter)で率直な疑問を投げかけた。「不思議に感じているのは、この手のものは自分で用意するべきではないか」「配られて屈辱感を覚える」「そもそもSEXしたいなら自分でコンドーム用意すれば良くない?」という彼の指摘は、多くの人が心の中で感じていた疑問を代弁するものだった。
確かに、成人である選手たちが性的活動を行うのであれば、自分でコンドームを用意するのは当然の自己責任である。五輪の大会予算、つまり税金からコンドーム代が支出されていることを考えれば、「なぜ公費で配布する必要があるのか」という疑問は至極もっともだ。
さらに、お土産として持ち帰る選手が多いという実態を考えれば、本来の目的である性感染症予防から大きく逸脱している。記念品として持ち帰るためのコンドームを税金で賄うことに、納税者が納得できるだろうか。
公衆衛生か自己責任か、揺れる五輪の理念
野口氏の指摘に対しては、「公衆衛生の観点から無料配布は必要」という反論もある。国によってはコンドームの入手が困難な選手もおり、無料配布により使用率が上がることで性感染症の予防に効果的だという主張だ。また、予期せぬ性的接触の際にすぐに利用できる環境を整えることは、選手の健康を守る上で重要だとする意見もある。
しかし、この「公衆衛生」という建前が、実際には「夜の国際交流」を公認し、税金で支援しているという批判も免れない。選手村での性的活動は公然の秘密であり、IOCもそれを黙認どころか積極的に支援しているように見える。
1988年のソウル五輪で始まったコンドーム配布は、当初はHIV/エイズという深刻な感染症への対策として正当性があった。しかし、配布数が年々増加し、お土産として持ち帰られる実態が明らかになった今、本来の目的は失われつつあるのではないか。
3日で枯渇した背景にある「記念品文化」
ミラノ五輪で1万個のコンドームが3日で枯渇した最大の理由は、実際の使用ではなく「記念品として持ち帰る」文化にある。五輪ロゴ入りのコンドームは、大会が終われば二度と手に入らない貴重な記念品だ。選手たちは自国の友人や家族へのお土産として、あるいは自分のコレクションとして、大量に持ち帰っているのである。
過去の五輪でも、選手村で配布されるコンドームは人気の「五輪グッズ」として知られていた。特に五輪ロゴが印刷されたものは、ネットオークションで高値で取引されることもあるという。つまり、性感染症予防という本来の目的は二の次で、記念品としての価値が優先されているのが実態なのだ。
この「記念品文化」が、本当に必要な選手がコンドームを入手できないという本末転倒な事態を招いている。お土産として大量に持ち帰る選手がいる一方で、実際に必要な時に手元にないという不公平が生じているのである。
選手村の「夜の実態」を暴露した元選手たち
五輪選手村での性的活動は、かつてはタブー視されていたが、近年では元選手たちが次々と「夜の実態」を暴露している。2018年平昌冬季五輪のフィギュアスケート代表だったアダム・リッポン氏は、米NBCの番組で「選手村での出会いとコンドームについて」赤裸々に語り、話題となった。
また、過去の五輪に出場した複数の選手が、「パートナーが一晩中セックスしていて寝られなかった」「選手村は夜になると別世界になる」といった証言をしている。大一番を終えた選手たちは、極度の緊張から解放され、ストレス発散やリラックスのために性的活動に及ぶケースが多いという。
世界中から集まった若いアスリートたちが、言葉や文化の壁を越えて交流する場として、選手村は特別な空間となっている。そして、その交流は昼間のスポーツだけでなく、夜の性的活動にも及んでいるのが現実なのだ。
税金で「夜の国際交流」を支援する矛盾
五輪のコンドーム配布問題の本質は、税金で選手たちの「夜の国際交流」を支援することの是非にある。性感染症予防という大義名分はあるものの、実際にはお土産として持ち帰られたり、記念品として収集されたりしている実態を考えれば、公費支出の正当性は揺らぐ。
さらに、成人である選手たちが自己責任でコンドームを用意すべきだという野口氏の指摘は、多くの納税者の共感を呼ぶだろう。なぜ公費で配布する必要があるのか、なぜ自分で用意しないのか、という疑問に対する明確な答えは示されていない。
IOCは「性感染症予防」という建前を掲げ続けているが、配布数の年々の増加や、3日で枯渇するという実態は、本来の目的から大きく逸脱していることを示している。五輪の理念である「スポーツを通じた平和と友好」という崇高な目標が、「夜の国際交流」という俗な現実によって汚されているとも言えるだろう。
ミラノ五輪が問いかける五輪の未来
ミラノ・コルティナ冬季五輪のコンドーム枯渇問題は、五輪が抱える矛盾を浮き彫りにした。性感染症予防という公衆衛生上の大義と、自己責任で用意すべきだという正論。記念品として持ち帰る文化と、本当に必要な人が入手できない不公平。税金で「夜の国際交流」を支援することの是非。
これらの問題に対して、IOCは明確な答えを示していない。「バレンタインデーで盛り上がっている」という意味深なコメントで済ませるのではなく、なぜ公費でコンドームを配布するのか、なぜ選手は自分で用意しないのか、という根本的な疑問に答える必要がある。
1988年のソウル五輪から始まったコンドーム配布は、当初のHIV/エイズ対策という正当性を失い、今や「五輪の風物詩」として形骸化している。配布数が年々増加し、お土産として持ち帰られる実態が明らかになった今、この慣習を見直す時期に来ているのではないか。
次回の五輪では、コンドームの配布方法や配布数について、より透明性のある議論が求められるだろう。そして、「自分で用意すれば良くない?」という野口氏の正論に、IOCがどう答えるのかが注目される。五輪の未来は、この小さな問題にどう向き合うかにかかっているのかもしれない。