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クラウドワークス営業利益84%減、純利益95%減の衝撃 – AIが奪った仕事、「1文字0.5円の案件すら消えた」ライターの悲鳴、プロまでもが難民化

クラウドワークス AI 失業

2026年2月18日、SNS上で日本最大級のクラウドソーシングサービス「クラウドワークス」の決算を巡り、悲鳴にも似た議論が巻き起こった。発端は、同社が発表した2026年9月期第1四半期決算の衝撃的な数字だ。営業利益は前年同期比84.4%減の5,400万円、純利益は95.6%減の700万円という壊滅的な減益となった。「ついにAIが人間の仕事を奪い、プラットフォームが崩壊した」という解釈が拡散される中、クラウドワークスの吉田浩一郎社長は「これは減益ではなく屈伸である」と反論した。しかし、公式文書には「AIによるワーカー需要の変化により当期純損失を計上」と明記されており、AIの台頭がフリーランス市場に与えた衝撃の実態が浮き彫りになっている。

営業利益84%減、純利益95%減の衝撃

クラウドワークスが2026年2月13日に発表した2026年9月期第1四半期決算(2025年10月~12月)は、まさに衝撃的な内容だった。売上高は55億6,000万円で前年同期比1.0%減とわずかな減収にとどまったものの、営業利益は5,400万円で前年同期比84.4%減、純利益は700万円で同95.6%減という壊滅的な減益となった。前期の2025年9月期通期決算では売上高226.6億円(前年同期比32.4%増)、営業利益17.6億円(同31.2%増)と好調だっただけに、わずか3か月での急激な業績悪化に市場は騒然となった。

この数字を見た瞬間、SNS上では「AIがフリーランスの仕事を奪い始め、決算が大幅な減益となった」「ついにAIが人間の仕事を奪い、プラットフォームが崩壊した」という悲観的な解釈が拡散された。「今の20代は、この現実を目に焼き付けておいた方がいい」という警告めいた投稿も相次ぎ、フリーランス市場の未来に対する不安が一気に高まった。

吉田社長の反論「これは減益ではなく屈伸である」

SNSがパニックになる一方、吉田浩一郎社長は決算発表同日の2月13日、noteで冷静にこう綴った。「数字の表面だけを見ると『減益』という文字に少し驚かれるかもしれません。私たちは今、中長期的な売上高1,000億円、営業利益100億円に向けて、一度深く屈伸をしている状態です」。吉田氏の主張は明確だ。利益が減ったのは「仕事がなくなって困っているから」ではない。これまでの「薄利多売なマッチング」から脱却し、アクセンチュアやデロイトといった大手出身のコンサルタントを採用してDXコンサルへシフトするための、計画的な先行投資(人件費や採用費)だというのだ。

実際、DXコンサル領域の売上は前年同期比で12.6%増と成長しており、単価も向上している。「AI-BPO」という新事業も立ち上げ、自社で実証済みのAI活用ノウハウを顧客に提供する側に回ろうとしている。つまり、クラウドワークスはAIに負けたのではなく、AI時代に勝てる筋肉質な企業へと、自ら血を流して生まれ変わろうとしている最中なのだ。この経営判断自体は、時代に適応した攻めの姿勢と言えるだろう。

公式文書が認めた「AIによるワーカー需要の変化」

しかし、経営陣がいくら前向きなビジョンを語ろうとも、足元の地面が崩れかけている事実は否定できない。その証左が、今回の騒動の3か月前、2025年11月14日に発表された『剰余金の配当(無配)』に関する知らせだ。そこには、配当を出せない理由として、あまりにも率直な一文が記されていた。「当期の業績につきましては、AIによるワーカー需要の変化により、当期純損失を計上する結果となりました」。

会社は、構造改革の必要性に迫られた根本原因が、「AIによって従来のワーカー需要が変化(減少)したこと」にあると、公式文書ではっきりと認めているのだ。かつてプラットフォームを支えた「データ入力」「SEOライティング」「バナー制作」「初歩的なコード書き」。これらの仕事が生成AIに置き換わり、収益源として機能しなくなった。だからこそ、吉田社長は巨額のコストを投じてでも、コンサル領域へシフトせざるを得なかった。これが真相だろう。

DXコンサル事業に最大25.5億円の巨額投資

クラウドワークスが「屈伸」と称する構造改革の中身は、DXコンサル事業への最大25.5億円という巨額投資だ。同社は2025年10月、新会社「クラウドワークス コンサルティング」を設立し、アクセンチュアやデロイトといった大手コンサルティングファーム出身のコンサルタントを積極的に採用している。従来の「フリーランスと企業をマッチングして手数料を得る」というビジネスモデルから、「企業のDX推進を支援して高単価のコンサルティングフィーを得る」というビジネスモデルへの大転換だ。

さらに、「AI-BPO」という新事業も立ち上げた。これは、クラウドワークス自身がAI活用で年間9,977時間を創出した実績を基に、自社で実証済みのAI活用ノウハウを顧客に提供するというものだ。皮肉なことに、クラウドワークスはAIで自社の業務を効率化する一方で、プラットフォーム上のライターたちの仕事がAIに奪われるという矛盾した状況を生み出している。

来期予想は売上200億円、営業赤字10億円の衝撃

クラウドワークスの「屈伸」はまだ続く。同社が発表した2026年9月期通期の業績予想は、売上高200億円(前期比11.7%減)、営業損益は10億円の赤字から収支均衡(前期17.6億円の黒字)という衝撃的な内容だ。前期は過去最高益を記録したにもかかわらず、翌期にここまで大胆な減収減益を計画するのは異例だ。答えは明確だ。最大25.5億円の成長投資を実施するためである。

この発表を受けて、2025年11月17日、クラウドワークスの株価はストップ安売り気配となった。市場は、クラウドワークスの「屈伸」を「経営悪化」と受け止めたのだ。しかし、吉田社長は「数字上の減収減益に一喜一憂せず、投資がどれだけDXコンサルなどの新事業の成長に寄与するかを見てほしい」と訴えている。果たして、この賭けは成功するのか。

「1文字0.5円の案件すら消えた」ライターの悲鳴

クラウドワークスが華麗にDXコンサルへ転身しようとする一方で、その影で振り落とされようとしているのが、個人のフリーランスたちだ。実際にクラウドソーシングを中心に活動していたライターのAさん(30代男性)は、ここ半年の急激な変化に肩を落とす。「以前は『1文字0.5円』のような低単価でも、数をこなせば月20万円にはなりました。でも、ここ半年でそういう案件自体がパタリと消えたんです」。

クライアントの動きはシビアだ。「発注主から『構成と執筆はChatGPTでやるから、君はファクトチェックと違和感の修正だけやって』と言われました。単価は今までの5分の1。時給換算したら数百円レベルです。これではもう、専業では食っていけません」(Aさん)。クラウドワークスがDXコンサルへ華麗に転身しようとする一方で、そこに乗れない普通のライターたちは、ハシゴを外された形になっている。

「プロ」までもが難民化、メディア編集部が見た異変

この余波は、Webメディアcokiのライター募集現場にも押し寄せている。これまでも一定のライター応募があったが、ここ半年で起きていることは異常だ。毎月10件程度だった応募が激増しているだけでなく、応募者の質が劇的に変化しているのだ。送られてくるポートフォリオには、誰もが知る大手ビジネスメディアや、有名カルチャー誌での執筆実績が並ぶ。かつては引く手あまただったはずのプロの中堅ライターまでもが、仕事を失い、新興メディアの門を叩いているのだ。

「ネットの情報をまとめて、綺麗に整える」。その程度のスキルであれば、たとえベテランであってもAIには勝てない。クラウドワークスの決算が示したのは、「『書くだけ』の仕事は、もう人間がやるものではなくなった」という、残酷なまでの労働市場の決定なのだろう。

AIが奪った仕事、AIが生み出した矛盾

クラウドワークス自身がAI活用で年間9,977時間を創出したという実績は、皮肉にも同社のプラットフォーム上のライターたちの仕事がAIに奪われる現実と表裏一体だ。同社は、AI導入により生産性向上を実現し、メール文作成や議事録作成などの定型業務を自動化した。160件の業務を削減し、年間9,977時間を創出したという。この効率化は、クラウドワークス社内では成功事例として語られるが、プラットフォーム上のフリーランスにとっては悪夢だ。

企業がAIで業務を効率化すればするほど、クラウドソーシングで発注される仕事は減少する。クラウドワークスは、自らがAI活用のノウハウを顧客に提供することで、プラットフォーム上の仕事をさらに減少させるという矛盾した状況を生み出している。会社はDXコンサルへ転身し、ライターたちは取り残される。この構図は、AI時代の労働市場の残酷な現実を象徴している。

AI時代の生存戦略は「二極化」する

クラウドワークスの95%減益騒動。それは、吉田社長が言うように「未来への投資(屈伸)」であると同時に、現場のライターにとっては「過去との決別(淘汰)」を告げる鐘の音でもある。今後、生き残る道は二つしかない。一つは、クラウドワークス本体のように、AIを使い倒して「上流(コンサル)」へ行くこと。もう一つは、AIが絶対に行けない「現場(一次情報)」へ泥臭く足を運ぶことだ。

その中間にあった「そこそこのスキルで、パソコンの前だけで完結する仕事」は、2026年の今、完全に過去のものとなろうとしている。データ入力、SEOライティング、バナー制作、初歩的なコード書き。これらの仕事は、もはやAIが数秒で完了させる作業だ。人間がこれらの仕事で生計を立てることは、もはや不可能に近い。

「書くだけ」の仕事は終わった、残酷な労働市場の決定

クラウドワークスの決算が示したのは、「『書くだけ』の仕事は、もう人間がやるものではなくなった」という残酷なまでの労働市場の決定だ。かつては、そこそこの文章力があれば、クラウドソーシングで月20万円程度は稼げた。しかし、ChatGPTやGeminiといった生成AIの登場により、その市場は一瞬で崩壊した。企業は、人間に発注するよりもAIに任せた方が、コストも時間も圧倒的に効率的だと気づいたのだ。

ライターたちは、「ファクトチェックと違和感の修正だけやって」という仕事に追いやられ、単価は5分の1に下落した。時給換算で数百円レベルでは、専業では食っていけない。かつては引く手あまただったプロの中堅ライターまでもが、仕事を失い、新興メディアの門を叩いている。この現実は、AI時代の労働市場がいかに残酷であるかを物語っている。

クラウドワークスの「屈伸」は成功するのか

クラウドワークスの吉田社長は、「中長期的な売上高1,000億円、営業利益100億円に向けて、一度深く屈伸をしている状態」だと語る。DXコンサル事業への最大25.5億円の巨額投資は、AI時代に勝てる筋肉質な企業へと生まれ変わるための賭けだ。しかし、この賭けは成功するのか。DXコンサル市場は、アクセンチュア、デロイト、PwC、KPMGといった大手コンサルティングファームがひしめく激戦区だ。クラウドワークスが、これらの巨人たちと対等に戦えるのか。

さらに、DXコンサル事業への転身は、従来のクラウドソーシング事業を切り捨てることを意味する。プラットフォーム上のフリーランスたちは、クラウドワークスに見捨てられた形だ。かつて「日本最大級のクラウドソーシングサービス」として成長してきたクラウドワークスが、その基盤を捨ててDXコンサルへ転身することは、果たして正しい選択なのか。市場は、クラウドワークスの「屈伸」を厳しい目で見守っている。

フリーランス市場の未来、AIと共存できるのか

クラウドワークスの95%減益騒動は、フリーランス市場の未来に対する深刻な問いを投げかけている。AIの台頭により、従来のクラウドソーシングビジネスモデルは崩壊しつつある。企業は、人間に発注するよりもAIに任せた方が効率的だと気づいた。ライターたちは、仕事を失い、単価は5分の1に下落した。プロの中堅ライターまでもが難民化している。この現実は、フリーランス市場がAIと共存できるのかという根本的な問いを突きつけている。

しかし、希望がないわけではない。AIが絶対に行けない「現場(一次情報)」へ泥臭く足を運ぶライターは、今後も生き残るだろう。インタビュー、現地取材、独自の視点と分析。これらは、AIには決して真似できない人間の強みだ。また、AIを使い倒して「上流(コンサル)」へ行くライターも、生き残るだろう。AIをツールとして使いこなし、より高度な価値を提供できるライターは、今後も需要があるはずだ。

「今の20代は、この現実を目に焼き付けておいた方がいい」

SNS上で拡散された「今の20代は、この現実を目に焼き付けておいた方がいい」という警告は、決して大げさではない。クラウドワークスの95%減益騒動は、AI時代の労働市場がいかに残酷であるかを示している。「そこそこのスキルで、パソコンの前だけで完結する仕事」は、もはや過去のものだ。データ入力、SEOライティング、バナー制作、初歩的なコード書き。これらの仕事は、AIが数秒で完了させる作業だ。

今の20代が生き残るためには、AIには決して真似できない人間の強みを磨くしかない。現場へ足を運び、一次情報を取材する力。AIをツールとして使いこなし、より高度な価値を提供する力。独自の視点と分析で、読者を惹きつける力。これらの力を持たないライターは、AI時代には生き残れない。クラウドワークスの95%減益騒動は、その残酷な現実を突きつけている。

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