
2026年1月30日午後9時、たった一通のLINEメッセージが日本の風俗業界に激震を走らせた。「本日の21時をもちまして資金難により全店閉店の運びとなりました」。送信者は、年商最盛期500億円、総資産約400億円を誇る森下グループ。全国21店舗を展開するソープランド「マリングループ」が、総工費10億円の旗艦店を含めて一斉閉店を発表した。しかし、これは単なる「資金難」ではない。その4日前、日本最大級の違法スカウトグループ「ナチュラル」のトップが逮捕されていた。警察の捜査が「本丸」に迫る中、「歓楽街の帝王」と呼ばれた森下景一氏は、再び逃亡を選んだ。
たった一通のLINEで全国21店舗が消滅
2026年1月30日午後9時、森下グループが運営するソープランド「マリングループ」の従業員とキャストに、突然のLINEメッセージが届いた。「本日の21時をもちまして資金難により全店閉店の運びとなりました」。昨日まで「週末頑張ろうね」と言っていた店長からの、あまりにも唐突な通告だった。
全国21店舗、数百人の女性が一瞬にして職を失った。寮に住んでいたキャストは「明日出ていけ」と言われ、泣き崩れた。「今月の給料どうなんの?」「寮追い出されたらホームレス確定」。SNS上には、悲痛な叫びが溢れた。
閉店した店舗の中には、昨年オープンしたばかりの総工費10億円の旗艦店「マリン宮殿 水戸店」も含まれていた。40年以上放置されていた伝説の廃墟に10億円を投じて復活を果たした豪華店舗を、惜しげもなく捨てての撤退。これは尋常ではない。
「資金難」という建前の不自然さ
森下グループの中核企業「株式会社白鳳ビル」の財務状況を見れば、「資金難」という説明がいかに不自然かが分かる。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 総資産 | 約395億円 |
| 利益剰余金 | 約258億円 |
| 年間売上高 | 143億円 |
約400億円の資産を持つ企業が、地方店舗の運転資金に困るはずがない。客たちも冷めた目で見ている。「『資金難』って(笑)。森下グループに限ってそれはない。回収終わったから損切りしただけだろ。相変わらず逃げ足が速すぎる」。
スカウトグループ「ナチュラル」逮捕との関係
マリングループ閉店の4日前、2026年1月26日に重大な事件が起きていた。日本最大級の違法スカウトグループ「ナチュラル」のトップ、小畑寛昭容疑者(40歳)が、潜伏先の鹿児島県・奄美大島で逮捕されたのだ。
「ナチュラル」とは何か
「ナチュラル」は、前警察庁長官・露木康浩氏(現内閣官房副長官)が「トクリュウ(匿名・流動型犯罪グループ)」と名付けた新たな反社会的集団のひとつ。暴力団のような明確な組織構造がなく、上層部が誰だか分からない。実行犯をその都度、SNSで募集する流動的な組織で、活動実態を匿名化・秘匿化する傾向が顕著だ。
彼らの手口は極悪だ。女性を風俗店に違法に紹介し、悪質なホストクラブで”ホス狂い”にさせ、支払い能力を超える高額な「売掛金」を背負わせる。そして「カネがなければ売春しろ」と強要する。2025年1年間で、全国の警察に寄せられたホストクラブに関する相談は2,776件にも上った。
時系列で見る急展開
| 日付 | 出来事 |
|---|---|
| 2026年1月26日 | スカウトグループ「ナチュラル」トップ・小畑寛昭容疑者を奄美大島で逮捕 |
| 2026年1月28日 | 森下グループ「マリン千姫」(茨城)に警察の家宅捜索(ガサ入れ) |
| 2026年1月30日 | 森下グループ「マリン」全国21店舗を一斉閉店 |
業界事情通は、この急展開の背景をこう指摘する。「警察は今、スカウトグループ『ナチュラル』や『トクリュウ』と呼ばれる匿名・流動型犯罪グループの資金源解明に躍起になっている。マリングループは表向き自社求人を謳っていたが、裏でこれら組織からの供給ラインがあったのではないか。1月28日のガサ入れは、単なる風営法違反の摘発ではなく、組織犯罪の『本丸』へ迫るための強制捜査だった可能性が高い」。
「歓楽街の帝王」森下景一とは何者か
森下グループを率いる森下景一氏は、「歓楽街の帝王」「風俗王」と呼ばれる伝説的な人物だ。1980年代後半、新宿・歌舞伎町でテレクラ「リンリンハウス」を創業し、業界最大手に育て上げた。
森下グループが築いた巨大帝国
森下グループは、夜の街に関わるあらゆる事業を手がける多角経営で知られる。その事業規模は圧倒的だ。
| 事業 | 代表的な店舗・ブランド | 特徴 |
|---|---|---|
| テレクラ | リンリンハウス | 1980年代創業、業界最大手。競合が1時間3,000円のところ、800円に値下げして市場を席巻 |
| マンガ喫茶 | マンボー | 1997年立ち上げ、深夜パック5時間1,200円の低料金で全国展開 |
| 個室ビデオ | 金太郎・花太郎 | 全国約200店舗 |
| ソープランド | マリングループ | 全国21店舗、福原・雄琴など主要地域に展開 |
| ラーメン | 博多風龍 | 歌舞伎町のシメの定番 |
| エンターテイメント | ロボットレストラン | 総工費100億円、インバウンド客を熱狂させた |
| ホテル | 池袋グランドホテル他 | 池袋・新宿・渋谷・錦糸町等繁華街を中心に多数 |
総工費100億円「ロボットレストラン」の衝撃
森下グループの凄さを象徴するのが、2012年7月18日に歌舞伎町にオープンした「ロボットレストラン」だ。総工費100億円という前代未聞の投資で、巨大ロボット、セクシーダンサー、ネオンとミラーボールで装飾された圧倒的なエンターテイメント空間を創造した。
総席数192席、1日3~5公演、公演時間1時間30分。インバウンド客を熱狂させ、マドンナのシングル「ジャンプ」(2006年)のプロモーションビデオのロケ地にも使用された。夜の街で巨大な映画を作った森下グループの創造力は、業界の常識を遥かに超えていた。
年商500億円の巨大帝国
森下グループの年商は、最盛期で350億~500億円と言われている。株式会社白鳳ビルの財務状況を見ると、売上高143億円、総資産約395億円、利益剰余金約258億円、従業員数1,300名。一代で築き上げた巨大帝国だ。
2006年の逮捕劇と「追徴没収」の悪夢
森下景一氏には、20年前の「古傷」がある。2006年、森下氏は風営法違反で逮捕・起訴された。判決は懲役6ヶ月、執行猶予5年。そして、約7,000万円の追徴没収。「歌舞伎町の性風俗事業の完全撤退」を条件に仮釈放された。
しかし、森下氏は20年後、再び歌舞伎町に舞い戻っていた。歌舞伎町の名店「バルボラ」の運営法人「有限会社熱海湯河原観光開発」の代表取締役として。
今回恐れたこと
「ナチュラル」との関係が明らかになれば、2006年の悪夢が再来する。不法収益として数十億円規模の「追徴没収」が言い渡される可能性があった。約400億円の資産が「犯罪による収益」として没収されるリスクを回避するため、総工費10億円の「マリン宮殿 水戸店」を含む全国21店舗を即座に閉鎖し、証拠隠滅を図った可能性が高い。
「大家ビジネス」の防御壁が崩れる危機
森下氏は、自らが代表を務める「株式会社ハウジングジャパン」などで物件(資産)を所有し、それを形式上、別の運営実態に貸し出す「大家」のポジションをとっていた。これならば、店舗で違法行為があっても「私は貸していただけ」という主張が可能になり、資産そのものは守られる。
しかし、「ナチュラル」との組織的な関係が明らかになれば、この防御壁は崩れる。警察は「組織犯罪の『本丸』」として森下グループを狙っていた可能性が高い。
警察の組織犯罪対策の大転換
警察は現在、「トクリュウ」の資金源解明に躍起になっている。ルフィ事件以降、組織犯罪対策は大転換を求められている。従来の縦割り組織では対応できないため、都道府県をまたぐだけでなく、各部門を横断する対策部門を設置して、戦略的にターゲットを絞って攻略している。
「ナチュラル」トップの逮捕は、その一環であり、次のターゲットは「ナチュラル」に女性を供給していた風俗店グループだった可能性が高い。森下グループ「マリン」は、その最有力候補だったと見られる。
現場の混乱と悲痛な叫び
「昨日まで『週末頑張ろうね』って言ってたのに、いきなり『21時で閉店』」
「寮に住んでる子は『明日出ていけ』って言われて泣き崩れてます」
「今月の給料どうなんの? 資金難って嘘でしょ、先週あんなに混んでたのに」
「寮追い出されたらホームレス確定。誰か助けて」
数百人の女性が路頭に迷う事態となった。一方、客たちは冷めた目で見ている。
「俺の貯めたポイントカード、ただの紙切れになるのか。供養してくれ」
「水戸のマリン宮殿、10億円かけた城だったんだろ? 一回くらい”落城”させに行きたかったな(笑)」
「『資金難』って(笑)。森下グループに限ってそれはない。回収終わったから損切りしただけだろ。相変わらず逃げ足が速すぎる」
「歓楽街の帝王」は再び逃亡を選んだ
スカウトグループ「ナチュラル」トップの逮捕から4日後、森下グループ「マリン」が全国21店舗を一斉閉店した。この急展開は、単なる偶然ではない。警察の組織犯罪捜査が「本丸」に迫ったことを示唆している。
森下グループは、2006年の「追徴没収」の悪夢再来を恐れ、約400億円の資産を守るため、総工費10億円の旗艦店を含む全店舗を即座に閉鎖し、証拠隠滅を図った可能性が高い。
年商500億円、総工費100億円のロボットレストラン、全国200店舗の個室ビデオ、21店舗のソープランド。夜の街で巨大な帝国を築いた「歓楽街の帝王」森下景一氏は、再び逃亡を選んだ。しかし、警察の追及は続いており、今後さらなる展開が予想される。
※本記事は、業界事情通の証言や公開情報を基に構成しています。内容の真偽については読者の判断に委ねます。